健康の情報

リウマチの話

リウマチのために調剤薬局ができること

私たち、ペガサス薬局には、たくさんのリウマチに関わる方がいらっしゃいます。患者さま、ご家族、そして、さまざまなサポ−トやケアをされる方。そうした、みなさんと一緒に、リウマチと共に生きることを考え、みなさんの立場からの治療法の確立やQOL(Quality of Life)の向上に役立つような、リウマチの正しい理解と情報を共有できる場になればと願っています。

そもそも、リウマチってどんな病気?

 リウマチというのは、広く疾患名が知られている割に、正しい理解がされていない、誤解の多い病気だということができます。
 一般には「関節の痛みを訴える、お年寄り特有の病気」というような認識の方が、ほとんどかもしれません。また、一般に使用されるリウマチという表現には、あいまいな部分が多く、そのために「まさか、自分がリウマチだとは思ってもみなかった」というケ−スもたくさんあると言います。
 世間で言うリウマチでは痛風や変形性関節症など関節や筋肉が痛む病気をまとめて指していることが多いのですが、医療の現場では『慢性関節リウマチ(RA)』のことを指してリウマチと言うケ−スがほとんど。
 RAは自己免疫の異常反応によって関節の滑膜が炎症を起こし、軟骨や骨の組織が破壊される慢性で進行性の全身性疾患で、年齢に関係なく発症する病気です。

RAと一般的な関節症の違い

 "リウマチ"とは、そもそもギリシャ語の"rheuma=流れ"という語源からきているとされるように、脳から悪い粘液が身体に流れて起こるものと昔の人は考えていました。それほど、当時の人にとっても理解し難い病気だったのかもしれません。  その後、病理学的・病因的研究が進み、各種の自己抗体の発見などを通して自己免疫疾患としてのリウマチの実態と治療法が探求されていったのです。現在でも、原因は解明されていない点が多く、何らかの引き金で免疫異常が起こり、さらにウイルスなどの微生物感染がそれに加わっているという可能性が考えられています。  このように慢性関節リウマチ(RA)は、頭から足の先まで、さまざまな症状が全身に流れていく病気で、一般的な関節症との違いがここにあります。

  慢性関節リウマチ(RA) 変形性関節症
症状 関節の腫れ、痛み、指の変形、筋力低下 関節の腫れ、痛み
なぜ
起こる
根本的な原因は未解明 主に老化によって関節が変形
どのように
起こる
関節滑膜の炎症が自己免疫異常によって引き起こされる 関節軟骨の炎症が摩擦や抵抗などによって引き起こされる
その他 貧血、全身倦怠、発熱、体重減少、腱鞘炎、肺疾患、心疾患などの合併症  

早い時期の正しい診断と治療がたいせつ

 RAには発症から経過、予後にいたるまで、さまざまなケ−スがあり個人差のとても大きな病気でもあります。それだけに、一般的にはという自己判断やその場しのぎの安易な治療は禁物。
 特に、40代以降で肩の痛みを『五十肩』と判断してしまうことや、10代で運動による関節炎と思い込んでいたら、実は若年性関節リウマチだったということもあります。
 最近では、発症初期から適切な治療を行なえば、比較的短期間で症状が安定し、日常生活には不自由なくRAをコントロ−ルできることも分かってきました。

リウマチをコントロ−ルするために

 リウマチの診断は難しく、リウマチ登録医などの専門医の診察を受けるようにしたほうがいいでしょう。リウマチ登録医は、日本で唯一のリウマチに関する『日本リウマチ財団』が設けた制度で『リウマチ情報センタ-』のWebサイトで調べることができます。

 RAは今のところ完治することが難しく、適切な治療を行なわず病気が進行してしまうと肢体不自由な状態に関節が変形してしまう可能性もあります。最初に かかった医療機関でRAに関する知識が不足し、処方されるクスリの効果や目的も知らされなかったために、病気のコントロ-ルが効かない状態になり、医療機 関や民間療法を転々とするケ-スも少なくありません。
 そうした事態を避けるためのポイントは、RAを正しくコントロ-ルするという考え方を知ること、そして適切な患者教育を医師、看護師、理学療法士、薬剤師などのチ-ムで受けるということでしょう。

 完治は難しくても、さまざまな療法により、病状の進行を阻止し、腫れや痛みをなくして日常生活を送れる状態にすることはできるのです。

常に、自分の身体と"対話"をすること

 RAと上手につきあう第一歩は、常に自分の身体の状態を知ること。そのために、自分の身体と向かい合って対話をするような気持ちが大切だといえます。自分の身体と対話をするというと、難しいことのように聞こえるかもしれませんが、糖尿病の方が自分の血糖値を把握し、食生活に気を使ったり高血圧の方が血圧を計るようなものと同じ。そのための「リウマチ手帳」というものもあります。これを使って、専門のお医者さまも交えて、自分の身体と向かい合うことで、そのときどきの状況に合った治療が行えます。

リウマチは身体の"地殻変動"のようなもの

 なぜ、このように細かなデ−タが必要かというと、ひとつにはリウマチが患者さまの身体の内部でのさまざまな変化、時間経過などによって、症状が変化し、それによって療法やクスリも変えていくことが重要になってくるからです。  この図は、身体とリウマチの関係を、地球の地殻変動の様子で現したものですが、RAを火山にたとえると、免疫異常がマグマの働き、これが噴火して炎症を起こしたものが溶岩流というようにとらえることができます。さらに進んで溶岩がふもとの家屋を破壊した状態、つまり炎症が進み関節が破壊された状態では手術が必要になるというものです。

 RAの根本にある免疫異常(マグマ)に対して投与するのが、疾患修飾性抗リウマチ剤(DMARD)で、火山のマグマ活動そのものを弱める働きを期待されて使われます。
 この薬の有効率は20~40%と言われているおり、また個人差も大きく、時間経過によって有効な薬が変化していくことも見逃せません。また、あふれだした溶岩(炎症)を食い止める働きをする非ステロイド系消炎鎮痛剤の併用も必要な場合があります。
 火山活動に対処するために、地殻のさまざまな変動デ−タが必要なように、身体の地殻変動ともいえるRAも、各種検査と個別対応でのクスリの投与に慎重でしかも的確な判断が欠かせません。まったく同じ火山活動がないように、RAも100人いれば100通りの治療、処方が必要な病気です。そのことを、何より、患者さまと患者さまを支えるみなさんが"治療責任"として理解することが大切でしょう。

患者本位でサポ−トしてくれるチ−ムを持つ

 RAに対しては、患者と医者だけが向かい合う治療ではなく、薬物療法、リハビリテ−ション、手術療法、ケアなどの専門家が一緒にチ−ムを組んで常に患者さまの状態に応じたサポ−トを行なう"チ−ム医療"が重要だと言われています。
 調剤薬局においても、クスリを単なるクスリとして扱うのではなく治療の一環として扱ってもらえるかどうかを、みなさんが見極めることが必要です。微妙なクスリの量によって、症状の進行が変わってくるRAの場合、たとえば風邪などの他の病気でRAのクスリが飲めないときに相談に乗ってもらえる調剤薬局かどうかというのは大きなポイント。たとえば、一般の人が真夏に冷房の効いた部屋で過ごすことは快適でも、RA患者さまの身体にとってはストレスとなり、それが引き金で症状が悪化することもあります。そんなささいな体調の変化、イライラや不安などもRAのチ−ム医療にとっては見逃せません。
 私たちペガサス薬局のスタッフは、そうしたチ−ム医療の一端を担えることを誇りにしています。どんなことでも、お気軽にご相談ください。

《監修:医療法人 万波整形外科 医学博士 万波健二》